轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ざっとう
雑沓
宮本 百合子
「中央公論」1937(昭和12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,832 字 · 50 页
「僕あの温室についてそういうことはこれまで考えたことなかった」
素直に、余り謙遜にそう云ったので、宏子は、この自分より遙かに大きい体をした弟が可哀想のようになった。宏子は、慰め、はげますように云った。
「順ちゃんが正しく暮したいと思っている気持は実によくわかってるさ。ねえ、だけれども……」
そう云っているうちに、宏子はまた一つの疑問に出会い、自分ながらびっくりしたような眼の動かしようをした。
「順ちゃん、学校のグループには入ってないの?」
簡単率直に訊いた。
「学生のやってる……。そういうもの勿論在るんだろう?」
すると、順二郎は微に口元の表情をかえ、再び膝をゆすり始めた。
「…………」
「知らないの?」
直接それには答えず、順二郎は、若々しく柔い顔の上に、真率な、苦しげな表情を泛べて云った。
「――僕、議論のための議論みたいなの、いやなんだ。めいめいが自分の利口さを見せようとして喋ってるようなのきいてると苦しくなる」
宏子の心にも、この言葉は触れるものをもっていた。どこかでは、宏子自身の或る面について、つかれた感じもあるのであった。しかし――
「それっきりだろうか」