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ざっき(に)
雑記(Ⅱ)
寺田 寅彦
「中央公論」1924(大正13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,640 字 · 14 页
これでないとずいぶん間違いが起りそうである。しかし果してそういう理由から船の中を選んだのか、あるいは他にもっと適切な理由があるのかもしれない。
船首から船長の三分の一くらいのところに当って、横に張り渡した横木に大小四本の円筒が並べて垂直に固定してある。筒の外側はアルミニウムペイントで御化粧をしてあるが、金属製だかどうだか見ただけでは分らない。昔は花火の筒と云えば、木筒に竹のたがを幾重となく鉢巻きしたのを使ったものだが、さすがに今ではもうそんなものは使わないと見える。第一その筒の傍に立って、花火の打上げを担当している二人の技手からが、洋服に、スエター、半ズボンというハイカラな服装である。そうしてその二人のうちで船首の方に立っている一人は、立派な鬚をさえ生やしているのである。これが筒の掃除をする役をつとめる。胴の間の側に立っているこれもスマートな風体の男が装填発火の作業をする役割である。
艫の方の横木に凭れて立っている和服にマント鳥打帽の若い男がいちばんの主人株らしい、たぶん今日のプログラムを書いてあるらしい紙片を手に持って立っている。その傍に花火を入れた箱があって、助手がそこから順々に花火の玉を出して打手に渡す。