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ざっき(に)

雑記(Ⅱ)

寺田 寅彦

「中央公論」1924(大正13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,640 字 · 14 页

青空文庫

始めに小さな包のようなものを筒口へ投り込んで、すぐその上へ銀色をした球を落し、またその上へ、掌から何かしら粉のようなものを入れる。次にチョッキの隠袋から、何か小さなものを出して、火縄でそれに点火したのを、手早く筒口から投げ入れると、半秒足らずくらいの後に、爆然と煙が迸り出て、鈍い爆音が聞える。煙が綺麗な渦の環になってフワフワと上がって行く、すると高い所で弾が爆発して、それからがいわゆる花火の現象になるのである。

だんだん目が馴れて来ると弾が上がって行く途中の経路を明瞭に認める事が出来る、そして破裂する時に、先ず一方へ閃光のように迸り出る火焔も見え、外被が両分して飛び分れるところも明らかに見る事が出来る。風の影響もあるだろうが、それよりもむしろ、筒口を出る際の、偶然の些細な条件のために、時々は弾道が上の方でひどく彎曲して、とんでもない方へ行って開く事もある。

いちばん小さな筒と、その次のとが、最も頻繁に使われる。一発打ち上げたのの煙が、おおかた消える時分に、次のを上げるという順序であるが、筒の大小は変っても、上がるものはたいてい同じような平凡なのが多い。