轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おしゃく

雛妓

岡本 かの子

「日本評論」1939(昭和14)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,482 字 · 53 页

青空文庫

「奥さまのかの子さーん」

わたくしは答える。

「お雛妓さんのかの子さーん」

そして嘗ての夜の通り、

「かの子さーん」

「かの子さーん」

こう呼び交うところまでに至ったとき、かの女の白い姿が月光の下に突き飛ばされ、女中の箱屋に罵られているのが聞えた。

「なにを、ぼやぼやしてるのよ、この子は。それ裾が引ずって、だらしがないじゃありませんか」

はっきり判らぬが、多分そんなことを言って罵ったらしく、雛妓は声はなくして、裾を高々と捲り上げ、腰から下は醜い姿となり、なおも、女中の箱屋に背中をせつかれせつかれして行く姿がやがて丈高い蓮の葉の葉群れの蔭で見えなくなった。

その事が気になってわたくしは一週間ほど経つと堪え切れず、また逸作にねだって蓮中庵へ連れて行って貰った。

「少しお雛妓マニヤにかかったね」

苦笑しながら逸作はそう言ったが、わたくしが近頃、歌も詠めずに鬱しているのを知ってるものだから、庇ってついて来て呉れた。

風もなく蒸暑い夜だった。わたくしたち二人と雛妓はオレンジエードをジョッキーで取り寄せたものを飲みながら頻りに扇風器に当った。逸作がまた、おまえのうちのお茶ひき連を聘んでやろうかというと、雛妓は今夜は暑くって踊るの嫌だからたくさんと言った。