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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

永井荷風『雨瀟瀟・雪解 他七篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雨瀟瀟、雪解、榎物語、監獄署の裏、散柳窓夕栄、寐顔、ひかげの花、勲章。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,414 字 · 289 页

青空文庫

胃の消化よく夢も見ず快眠を貪り得た夜の幸福はおそらく美人の膝を枕にしたにも優っているであろう。しかしふと思立ってわたしは生前一身の始末だけはして置こうものとまず家と蔵書とを売払って死後の煩いを除いた。閑中いささか多事の思をなしたのは唯この時ばかりであった。

住み馴れた家を去る時はさすがに悲哀であった。『明詩綜』載する処の茅氏の絶句にいう。

壁二有リ二蒼苔一甑ニ有リレ塵。

家園一旦属ス二西鄰ニ一。

傷心畏ルレ見ルヲ門前柳。

明日相看レバ是レ路人。

その中売宅記とでも題してまた書こう。

大正十年正月脱稿

雨瀟瀟序

拙作『雨瀟瀟』はかつて余が編輯せし雑誌『花月』に掲載せむがため大正七年の秋稿を起せしもの。初め「彩箋堂佳話」と題せしがその冬雑誌の廃刊と共に転居の事などありて、そのまゝ久しく筆を断ちたり。大正九年の夏築地より現在の家に移るに及び再び執筆の興を催し同年十二月の末に至りて稿を脱し得たり。あたかも雑誌『新小説』記者の草稿を求むるに会い浄写の時改めて『雨瀟瀟』となしぬ。大正十一年九月当時執筆の短篇小説数篇及雑録の類と併せてこれを一巻となし春陽堂より刊行したり。