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ゆきのとう

雪の塔

海若 藍平

「九州日報」1923(大正12)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,032 字 · 10 页

青空文庫

玉雄と照子は兄妹で毎日仲よく連れ立って、山を越えて向うの学校に通って、帰りも仲よく一所になって帰って来ました。

或る日、二人はいつもの通り学校から手を引き合って、唱歌をうたいながら帰りがけ山道にかかりますと、真暗な空から雪がチラチラ降り出して、見ている内に道が真白になりました。

二人は唱歌を止めて急ぎましたが、雪はだんだん激しくなるばかり。しまいにはあとも先も見えず、どこが道やらわからなくなり、だんだん山深く迷い入って行きました。

そのうちに日が暮れて、寒い風がヒューヒュー吹きはじめました。二人はお腹が空いた上に寒さに凍えて、

「お父さん」

「お母さん」

と泣き叫びながら肩を組んで行きましたが、とうとう二人とも雪で動けなくなって、雪の上に座ってしまいました。もう泣く声も出ず息も凍ってしまいそうで、只夢のような気持になりました。

その時に玉雄は、林の向うを風につれて雲のように吹き渦巻く雪の切れ目切れ目に、一つの高い高い真白な塔のようなものが天まで達く位立っているのを見付けました。その塔の処々には小さな窓があって、赤や青や黄色や紫の美しい光がさしております。