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ゆきのとう
雪の塔
海若 藍平
「九州日報」1923(大正12)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,032 字 · 10 页
「ふれふれ雪よ 春は近い
ふれふれ雪よ 冬はおわる
ふれふれ真白に ふり積れ雪よ
吹け吹け風よ 吹き巻け風よ
一夜のうちに 雪の塔を作れ
冬と春とが わかれを告げる
名残のかたみ 雪の塔をつくれ
冬は行く 春は来る
ふれふれ 雪よ
春は来る 冬は行く
吹け吹け 風よ
ふれふれ 吹け吹け
吹き渦 巻いて
天まで遠く 雪の塔を作れ
世界の人も 獣も鳥も
野山の草木も 気づかぬうちに
旭の光りが 照らさぬうちに
一夜で出来て 一夜で消える
高い高い 白い白い
水晶のような 雪の塔を作れ」
こう歌っているうちに舞姫たちはだんだん玉雄と照子の方へ近付いて来て、二人のまわりをくるくるまわりながら、白い大きな蝶のように美しく踊りまわりました。
そのうちに大勢の舞姫は踊りながらだんだん二人へ近寄って来て、手に手に二人を舁ぎ上げたと思うと、そのまま踊りをやめて雪の塔の中へ連れ込みました。
雪の塔の中はどんなにか寒いだろうと玉雄は思っていましたが、まるで違って春のように暖かです。舞い姫たちは二人を軽々と舁ぎ上げたまま、梯子段をだんだん上に昇って行きます。
第一の室は青い光りに満ち満ちておりました。