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ゆきのふったひ

雪の降った日

小川 未明

「お話の木」1938(昭和13)年2月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,110 字 · 11 页

青空文庫

きよも、ほんとうに、そう感じたし、またありがたく思いました。

「お礼にいっていらっしゃい。」

「はい、いってまいります。」

お母さんが、くず屋さんのお家をきいておいてくださったので、きよは、お礼にいくのに、そう捜して歩かなくともよかったのです。

きよは、電車を降りてから、小さな家のごちゃごちゃとたてこんだ、路次を入っていきました。すると、くず屋さんの家はじきわかったが、表の戸が閉まっていました。

「おや、働きに出かけて、お留守なんだろうか。」と、思ったが、ふと、わきについている、小さな窓を見ると、その内で、コトッ、コトッ、コトッと、なにかおもちゃの動くような音が、きこえました。やはり、いるのかしら、と考えて、

「ごめんください。」と、きよは、いいました。しかし、返事がありません。もう一度、

「ごめんください。」といいました。

すると、子供の声で、

「お母さんは、いない。」と、答えました。

きよは、お礼に持っていった、品物だけなりと置いていこうと思って、

「もし、もし、ちょっと、ここをあけてくださいな。」といいました。けれど、子供は、窓を開けるようすがありませんでした。