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くもとこもりうた
雲と子守歌
小川 未明
「新児童文化 第1冊」1946(昭和21)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,823 字 · 10 页
」
「あんたも、疲れるでしょう。お大事に。」
そういって、二人は、たがいににっこり笑って別れました。病人につききりの看護婦は、手に氷袋をぶらさげていました。
健康の人の住む世界と、病人の住む世界と、もし二つの世界が別であるなら、それを包む空気、気分、色彩が、また異なっているでありましょう。そうすれば、これらの若い献身的な人々は、いったいどちらの世界に住むというべきであろうか。
ここは、病院の一室でありました。そこには、五つになる男の子が、ろっ骨カリエスにて、もう永らく入院していました。その子の看護には、真のお母さんが、あたりました。子供は、日増しにつのる病勢のために、手足はやせて、まったくの、骨と皮ばかりになって、見るさえ痛々しかったのでした。それだけでなく、ものにおびえるような目つきは、日に幾回となく、ゲリゾン注射や、ぶどう糖注射や、ときには輸血をもしなければならなかったので、そのたび苦痛を訴えて、泣き叫ぶ事実を語るのであります。子供の小さな肉体と可憐な魂は、病菌が、内部から侵蝕するのと、これを薬品で抗争する、外部からの刺激とで、ほとんど堪えきれなかったのであります。