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くもとこもりうた
雲と子守歌
小川 未明
「新児童文化 第1冊」1946(昭和21)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,823 字 · 10 页
しかしながら、こうした子供の体にも、またすこしの間は、平静なときがありました。それをたとえるなら、一時間に幾十回となく、貨車や、客車が往復するために、熱を発し、烈しく震動する線路でも、ある時間は、きわめてしんとして、冷たく白光りのする鋼鉄の面へ、無心に大空の色を映すといったような具合です。
ちょうど、子供の病室の窓から見える、青い空には、きざんだ色紙をちらしたように、白い雲、赤い雲、紫の雲が、思い思いの姿で、上になり、下になり、遊んでいるのを、子供は、寝ながらながめていました。
「みんなして、鬼ごっこをしているんだね。」と、子供はひとりごとをいいました。すると、空の上で、耳ざとくききつけた、白い雲が、
「坊やも、お仲間におはいりよ。」と、呼びかけました。
「ぼく、足が弱くて、飛べないんだもの。」
「飛べるように、雲にしてあげるから、早くおいでよ。」
「ほんとうに、雲にしてくれるの?」
「いいとも、坊やの好きな、雲にしてあげる。」
「そんなに遠くいけば、お母さんが見えなくなるだろう。」
「どんなに高いところからだって見えるさ。ここから、よく坊やが見えるのだもの。