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うんなんしゅびへい

雲南守備兵

木村 荘十

「新青年」1941(昭和16)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,859 字 · 76 页

青空文庫

罵りながら軒先へ出て来た店の者は、軍曹の姿に慌てて追従笑いをした。

「つい、癖になるもんですから」

孫は、それに見向きもせず、

「可哀想に酷いことをしやがる。どうした。怪我をしやアしないか」

と云いながら、倒れている子供を抱き起した。

痩ッこけた手足、緑がかった青い皮膚、額から鼻のあたりまで酷い傷痕があって、両眼がつぶれている。

一見して鉱山でやられた犠牲者だった。

孫軍曹は、ぎょっとした様子で凝っと小孩の顔を見ていたが、堪らなくなったらしく面をそむけた。そして、泣きじゃくっている小孩をしっかり抱えて店の中へ入って来た。

店の者も、居合せた客達も、驚いて軍曹と乞食を見守った。

孫は店の者が、真青になって後退りをするほど、殺気を帯びた凄い顔をしていた。彼は、激しい怒りに、血走っているような鋭い眼を据え、歯を食いしばって、深い影を刻んだ頬のあたりを痙攣させていた。

「おい、あの軍曹じゃないか、黄中尉をやっつけた」

その囁きに、店の者は震え上った。

店の、とっつきに居た、年寄の客は、その様子を見ると、孫に席を譲りながら、

「それ見ろ、だから乱暴なことをするなと云ったのに……さ、よく謝った方がいいだろう」