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うんなんしゅびへい
雲南守備兵
木村 荘十
「新青年」1941(昭和16)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,859 字 · 76 页
「兵隊さん、何時帰って来たの?」
軒下の白い顔が笑いかけたが、孫がぴたりと立止まると、ぎょっと身を硬くして後退りをした。
安建築の入口から、外国のジャズが往来へ躍り出して来る。
酔った男や女の声がそれに絡み合って流れて来る。
孫は、棒のように突立ったまま、女を睨みつけていたが、軍帽を被り直すと、逃げるように歩き出した。
しかし、何時の間に出来たか、この不夜城に、そんな家は何軒も続いて、ぞろぞろ群集が歩き廻っている。
漸く角へ出ると、そこには外国の男と女が抱擁している大きなポスターを掲げた新築の映画館が、四つ角の空をネオンサインで燃えたたせている。
大学生らしい男が五、六人、何処かで飲んで来たのだろう、いい機嫌で雑沓を押し分けながら道一杯に並んでやって来た。
学生達は、自分達の前に立った孫伍長の骨ッぽい顔や、汗と埃にまみれた軍装を見ると、圧迫されたように左右に開いて通り過ぎたが、その中の一人は、なれなれしく寄って来た。
「失礼ですが、戦線から帰って来たのですか」
孫は、呶鳴りたかった。が、彼は隊にいても何処に居ても、大学へ行った人間というのは、時々将軍や大官の伜が交っていて苦手だということを知っていた。