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かみなり

雷

海野 十三

「サンデー毎日 秋期特大号」毎日新聞社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,706 字 · 40 页

青空文庫

と、老人夫妻はその答に窮したが、そのときの気持を強いて突き留めてみれば、この二階家から同じ距離を置いて左右に二個所、目障りな櫓を建てられ、なんとなく眩暈のするような厭な気分が湧くという外になかった。しかしそんな非礼な言葉を、この福の神に告白して、その御機嫌を損ずる気は毛頭なかったのである。

「あれは、赤外線写真でもって、活動写真を撮るためなんですよ」

「へえ活動ですか。……何の活動を……」

「それはつまり甲州山岳地方に雷が発生して近づいてくる様子を撮るのです。この写真機というのが私の発明でしてネ。従来の赤外線写真では出来ない活動を撮ります」

「ははア、雷さまのことだから、高い櫓が要るのですナ。しかし二本も櫓を建てたのはどういう訳ですか」

「櫓が二つあるというわけは……」と、北鳴四郎はちょっとドギマギした風に見えた。「それはつまり、相手が雷のことですから、櫓には避雷針を建てますが、いつ雷にやられるとも限らない。それで一方が壊されても、他の方が助かって、目的の活動が撮れるようにというわけです」

「なるほど。……して、その活動は誰が撮るのですか」

「それは私です。