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かみなり

雷

海野 十三

「サンデー毎日 秋期特大号」毎日新聞社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,706 字 · 40 页

青空文庫

それから小一時間経った後のこと、松吉はまだ少しフラフラする足を踏みしめながら、服装だけは一張羅の仕事着をキチンと身につけて、恐る恐る北鳴の宿に伺候した。

「オイ、本当にもう大丈夫か。酔っとりはしないというのだな」

「へえ、もう大丈夫でして。……」

と、松吉はまたペコペコ頭を下げた。

「では、もっとこっちへ寄れ。……明日からの仕事の櫓だ」

松吉は、ペコリとお辞儀をして、近よるどころか、少し後へ下った。

北鳴の示した図面によると、今度の二基の櫓は、比野町の西端、境町の水田の上に建てることになっていた。構造は前と同じようなものであった。しかし材料はすべて、新しいものを使い、例によって、明日一杯ぐらいに建ててしまえという命令だった。松吉は確かに承知した旨、回答した。

その後で、松吉は酔っていないのを証明するために、北鳴と雷問答を始めたのだった。

「ねえ、北鳴の旦那。今年は、雷が非常に多くて、しかも強く、町の上にポンポン落ちるような気がしますが、どうしたわけでしょうナ」

北鳴はジロリと横目で松吉を睨み、

「お前が、妙ちきりんな避雷針を建てたりするからだ」

「……でも旦那」