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かみなり
雷
海野 十三
「サンデー毎日 秋期特大号」毎日新聞社、1936(昭和11)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,706 字 · 40 页
目的物の近傍に、高い櫓を二基組み、その上に避雷針を建てる。すると近づいた雷雲は、もちろん二基の避雷針の上にも落ちるが、丁度二基の中間にある目的物の上にも落ちる。その目的物に避雷装置があればいいが、もしそれがなければ恐ろしい落雷が起る! それはおれの研究の逆用じゃないか! そんな恐ろしい計画のもとに、両親が殺されたとは、この手紙を見るまで、どうして想像ができたろう。いや慨くのは後でもいい。今はたった一人の愛すべき妹とその夫が、全く同じ手で殺害されようとしているのだ。……ああ、おれはもう、この雷鳴の済むまで待ってなどいられないんだッ」
そう叫ぶとともに、雅彦は大雷雨の中に、豹のように躍りだしていった。彼は自分の身にふりかかる危険などは考えていられなかった。ただ一途に、愛すべきたった一人の同胞であるお里を救うの外、なんの余念もなかった。
果して彼は目的地点で、何を発見したろうか。
無残なるお里と、その夫英三の惨死体だったであろうか?
いや、そうではなかった。それは全く思いがけない懐しい妹の笑顔だった。もちろん英三も共に無事だった。悪い籤を引き当てたのは、実にこの奇抜な殺人計画をたてた悪人北鳴四郎があるばかりだった。