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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

「おやおやこれはふしぎ」

と、鳩つかいはなおも、うすきみわるく笑いながら、

「お嬢さんが鳩にばけてしまいました。では、鳩の方は、なににばけているでしょうか」

といってもう一つの箱のふたをとると、あらふしぎ、箱の中はからっぽです!

ミドリは、いったいどこへいったのでしょうか。

「おじさん、ミドリを早くもとのようにかえしておくれよ」

と、高一は、ぶたいにとびあがっていいました。

「あなた、なぜ見世物のじゃまをしますか」

「だって、ミドリをかくしたりして……」

「まだ、じゃまをしますね」

というと、鳩つかいは、いそいでぶたいの幕をしめさせ、高一を、見物席から見えないようにしてしまいました。そして、いきなり鳩のかごの戸をあけました。そのとたん、鳩は、すごいいきおいで、高一めがけてとびかかりました。まるで電気鳩そっくりです。

「あっ」

と、おもったときはもうおそく、高一は鳩にとびつかれて気をうしなってしまいました。

ミドリも高一も、まったくひどい目にあったものです。世界一のかしこい鳩だというが、それは、あのおそろしい電気鳩だったのです。鳩つかいにばけていたのは、にくいスパイ団長でありました。