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でんきばと
電気鳩
海野 十三
「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页
びんの口からは、とてもいやなにおいがしました。
電気鳩が飛びだしたと見るや、高一は愛犬マルという、よくはなのきく犬をつれて、いっしょに電気鳩のあとをおいかけました。電気鳩は昨日とおなじように村ざかいの山の方にとんでゆきます。赤い紙テープをながくひきながら、ぐんぐんとんでいって、やがて、すがたがみえなくなりました。
でも、高一は、べつにあわてるようすもなく、しきりに、はなをならして走るマルのあとについて、どんどん山の中にわけいりました。
先にたって走っていたマルは、そのうちに人の出入りができるほどのほら穴の前までくると、ほら穴の入口の草をしきりにかいで、急にうごかなくなりました。高一は、
「うむ、このほら穴にはいったのだな」
と、ほら穴をにらんで、おもわずひとりごとをいいました。
穴のなかの人
だれもしらないことですが、飛行列車をついらくさせたのは、電気鳩のしわざでありました。高一は、そんなこととはしらず、ただ鳩舎へおりた電気鳩が、だいじな伝書鳩をころしたのにちがいないとおもって、愛犬マルといっしょに、この山のおくのほら穴の前まで、電気鳩をついせきしてきたのでありました。