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きりをけすはなし
霧を消す話
中谷 宇吉郎
「思想」1945(昭和20)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,903 字 · 16 页
事実アメリカで五十ガロン入りの石油ドラム罐二本を滑走路上にあけ、それに火をつけて燃したら、霧の中に大きい孔があいて、その中を飛行機が無事着陸したという報告もある。
機械的方法というのは、大気をかきまぜる方法である。霧のある時はいつでも上空が暖かく、地表の気温が低くなっている。それが霧の出来る一つの条件なのである。それで地表から数百メートル程度の高さまでの大気をかきまぜれば、霧は消えるはずである。この方法は大変な勢力が要るので一寸見込がない。また験してみた人もない。
それよりも電気的方法の方が一寸面白いようである。それは帯電した砂を飛行機から撒いて、霧粒を凝縮させて雨として降らせてしまう方法である。アメリカで実際にやってみたら成績が非常に良かったというが、ドイツでの実験では雲が出来てしまって、かえって悪かったという結果が出ている。その時の気象状態によることで、勿論そういう矛盾した結果が出ても良いのである。この方は考えは一寸面白いが、ちゃんとした研究をもっと充分にやってからでないと、急には実用に間に合いそうもない
霧の人工消散については、この程度の研究が今までになされているので、チャーチルの決心は全く無鉄砲のことを言っているのではなかった。