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あおいランプ

青いランプ

小川 未明

「週刊朝日 17巻7号」1930(昭和5)年2月9日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,233 字 · 13 页

青空文庫

ただ、夏がくると、家のまわりには、いろいろの草がしぜんに芽を出して、赤・白・紫・黄の花を美しく咲かせました。そして、沖から吹いてくる風は、それらの花を動かしました。ちょうや、はちは、朝から、集まってきて、日の暮れるころまで、楽しく遊んでいました。

「お父さんは、無事にお帰りなさるだろうか?」

「あの外国人でさえ、ああして、帰っていったのだもの、人の思いの通らないことはない。きっと五年たったら、お父さんは、帰っておいでなさる……。」

一年は、また一年とたってゆきました。年々種子が残って咲いた草花も、その後、だれも手をいれるものがなかったので、外国人の住んでいた家の荒れるとともに、花の数は少なくなってしまいました。こうして、ついにお父さんの帰るといわれた五年めとなったのであります。

お母さんは、お父さんの留守の間に、ランプの下で、さびしく仕事をしていました。このあたりの海は、十月の末になれば、波が高くて、どんな船も、あまり通ることはなかったのでした。

「もう、お父さんは、お帰りなされそうなものだ。」

こういって、娘と母は、毎日のように、海岸に立っては、船のはいってくる、影を待っていました。