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あおいランプ

青いランプ

小川 未明

「週刊朝日 17巻7号」1930(昭和5)年2月9日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,233 字 · 13 页

青空文庫

」と、二人はいいました。

「じゃ、約束をしよう。いまから五年めにきっと帰ってくるから。」と、お父さんは答えました。

汽船からは引き下ろされた小舟が、陸を指してきました。それから、しばらくして、外国人とお父さんはその小舟に乗りました。小舟は晩方の金色に輝く波を切って、ふたたび陸をはなれてあちらに泊まっている汽船をさしてこぎました。海鳥は、美しい夕空におもしろそうに飛んでいました。

母と娘と近所の人たちは、名残惜しそうに、目に涙を浮かべて、沖の方をながめていました。小舟は小さく、小さくなって、いつしか船にこぎつくと、人も舟も、同時に、引きあげられて、船は、暮れてゆく空に汽笛を鳴らして、いずこへともなく去ってしまいました。

絵で見ると、お父さんのゆかれた外国には、りっぱな町があって、馬車が通っています。また、男も、女も、思い思いに、きれいなふうをして歩いています。お父さんからは、いったきり、たよりがありませんでした。留守をしている、家の人々は、ただ五年のあいだの早くたつのを待っていました。

外国人の住んでいた家は、空き家になって、だれも住んでいませんでした。