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あおいふろしきづつみ

青い風呂敷包

大倉 燁子

「キング 一三巻四号」1937(昭和12)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,612 字 · 28 页

青空文庫

彼女は忽ち眉をよせ、舌打ちしながら、烈しく首を振った。夢丸は心得て引き退った、が、間もなくまたやって来て、

「駄目よ、おねえさん、どうしても帰んないわ。――だから、ちょいと来て頂戴な」と歎願した。初子はカッとして、

「放っちゃっておきよ。ゴリラなんか――、構わないでおけば帰っちまうさ」と甲高い声で云い放った。

「酷いことを云うなよ。僕は遠慮するとしよう」客は不快な顔をして起ち上ると、皆が止めるのもきかないで、さっさと表口の方へ行った。初子は大分酔っていたので、足許も危ぶなかしく後を追い馳けたが、ふと、入口のところに佇んでいる吉川を見ると、

「何だって、商売の邪魔をするのさ、あんたなんかに用はないよ」といきなり突掛った。

「そっちになくったって、こっちにゃあるんだ」

「執拗い男だわね、用があるなら台所口へ廻って頂戴、表に立っていられちゃ縁起が悪るくって仕様がない!」

美佐子は見兼ねて、吉川を三階の衣裳部屋へ案内して、

「初子さんを連れて来て上げるから、ここで待っていらっしゃい」と言って、マッチと灰皿を彼の前に置いてから、初子のところに戻り、「早く会って、帰してしまった方がいいわよ。