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せいしゅん
青春
宮本 百合子
「婦人朝日」1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,799 字 · 16 页
そのときは、もう十六ではなかったし、仮にも大学というところで、校長はあんなに自由とか天才とかいうくせに、何たるけちくさい性根であろう、と大いに腹を立ててそんな校風なら髪は直さないが運動会へなんか来ない、と行かなかったこともあったりした。この学校に一学期しかいなかった心持にこんなことも作用したと思う。
髪のことで切ない思いをしたのは私ばかりでなく、女学校のとき、もう二人の不運な道づれがあった。私のはともかく自分の好きを立ててのことであったが、あとの二人は生れつきが如何にも豊かな髪で、それが不運の源であった。すこし前髪をゆるめたぐらいでは、その素直で房々した長い髪は小さい頭の上におさまりかねて、自身のつややかなおもさでいつもゆるんだような形になり、その二人の体つきがその髪のくずれにふさわしくて、特別な味わいがあるのであった。夢二の描く若い女の髪かたちを髣髴させたが、叱られたり、睨まれたりするのはそれが夢二に似ているからではなくて、丁度その頃、私たちの崇拝をあつめていた一人の若い長身の女の先生の髪が、そのような形をしているから、というのが原因であった。