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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
在线阅读織田 作之助《青春の逆説(せいしゅんのぎゃくせつ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,593 字 · 325 页
多鶴子は心得て立ち上り、
「どうぞよろしく」席をはずしてしまった。豹一はあわてて、
「はあっ!」と、わけのわからぬ掛声を挨拶がわりに唸りあげて、多鶴子の後姿を見送った。
「さあ、いただきまひょ」佐古は飲めと催促した。豹一は眼をつむって、噛みちぎるように、一気に飲み乾し、グラスを佐古の手に渡した。
「凄い! 凄い! お水は……?」
「結構です」実は欲しかったのだが、わざわざ言われると、持前の負けずぎらいからそう答えざるを得なかったのだ。
余程悪質のジンだと見えて、急激に廻って来た。豹一は醜態を見せぬ内にと思い、
「お忙しいところをどうも……」ぶらんと頭を下げて、わりに新聞記者らしい言い方でそういうと、ふらふらと「オリンピア」を出て行った。
出ると、寒い風がさっと来た。肩をすくめた拍子にぐらぐら目まいがして、道頓堀の灯が急に真っ白にぼやけて、視線になだれこんで来た。かと思うと、いきなり遠ざかり、頭の中を赤い色が走った。
無我夢中で食傷横町の狭くるしい路次を抜け、法善寺の境内にぽかりと出た。凍てついた石畳の上にぽつんとベンチが置かれてあるのを見て、豹一は這うようにして、それに腰を下ろした。