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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
在线阅读織田 作之助《青春の逆説(せいしゅんのぎゃくせつ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,593 字 · 325 页
第三章
一
と、言った。
そして、豹一の方へ二、三歩駆寄った。
寒い風が日のかげった舗道に吹いた。
豹一は、
「ええ」と、声をあげた。そして別れた。
第三章
一
佐古の顔を見なければならぬかと思うと、多鶴子はもう「オリンピア」へ行く気がしなかった。しかしはっきりとそう言う名はついていないが、前借乃至契約金に似た金を貰っている以上、いきなり廃めてしまうわけにはいかなかった。人気稼業をしていただけに、契約の重んずべきことは判りすぎるほど知っていた。どうしようかと、多鶴子は朝から思案していたのである。
ところが、豹一に「今夜『オリンピア』へ来て下さらない?」と言った瞬間に彼女の心は決ってしまった。
いきなり廃めてしまっては角が立つ。佐古には昨夜のことは知らぬ顔を見せて置けば良いのだと、多鶴子はいつもの時間に「オリンピア」へ出掛けた。
しかし、なぜ豹一に「オリンピア」へ来てくれと言ったのであろうか。
一人でも多く客を勧誘するための商売気からだときいても、相手が豹一とあれば、いくら宣伝係とはいえ、佐古も喜ぶまい。むろん、そんな気持からではなかった。いうならば、多鶴子自身それをはっきり意識しなかったことだが、やはりその夜もう一度豹一と会わずにはいられなかったのである。