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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
在线阅读織田 作之助《青春の逆説(せいしゅんのぎゃくせつ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,593 字 · 325 页
首席になっていた。豹一はかなり幸福な気持になった。しかし、全く幸福だと言っては言い過ぎだった。何かの間違いだろうという心配があったからである。からかわれているのではないかと、身体を見廻す眼付になるのだった。自分の頭脳にはひどく自信がなかったからである。クラスの者は少くとも彼の暗記力の良さだけは認め、怖れを成していたのだが、豹一には人から敬服されるなど与り知らぬことだった。まして首席という位置は、日頃諦めている運命には似つかわしくなかったのである。
だから、自分でも屡※(二の字点、1-2-22)首席だという事実を顧る必要があった。言い触らした。いつか「首席」が渾名になってしまった。いわば首席の貫禄がなかったのである。ふと、母親のことや坐尿のことを想い出すと、
「こんどめは誰が二番になるやろな」クラスの者を掴えて言うのだった。
これは随分鼻についた。クラスの者はうんざりし、豹一がそんな風に首席に箔をつけたがるので、いつかそれをメッキだと思い込んだ。
「あいつはたかが点取虫だ」
一学期の試験の前日、豹一は新世界の第一朝日劇場へ出掛けた。マキノ輝子の映画を見、試験場へそのプログラムの紙を持って来て見せた。