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あおふくのおとこ

青服の男

甲賀 三郎

「現代」1939(昭和14)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,026 字 · 29 页

青空文庫

お差支えなくば――」

「多分金の事だろうと思います。卓一君はちょい/\金の相談を持ちかけましたので――大方何かいゝ事業があるから投資しろとか何とかいう事でしょう」

「なるほど、ではあなたは之までに卓一君の勧めで、時々投資なすったという訳ですか」

「いゝえ」信造は飛んでもないという風に首を振って、「卓一君の事業と来ちゃ、お話にならない事ばかりでしてね、帽子の中に畳み込みの傘を入れて置いて、イザ雨という時にボタンを一つ押すと、パッと拡がるという発明だとか、靴の下に車をつけて、背中に蓄電池を背負っていて、小さいモーターで廻す発明だとか、そうかと思うと、海の水から金を採るとか、日本中の猫を買い占めるとか――」

「なんの為に猫を買い占めるんですか」

「そうすると三味線が出来なくなって洋楽が盛んになるというんです。卓一君は洋楽が好きなもンですから」

「ハヽア――どうも変っていますな」

「えゝ、変っていますとも。そうかと思うと、アメリカから女サーカスを招聘して一儲けするんだから資金を貸せだの、困ってる劇団があるから、金を出してやれだの――この頃はひどく連珠に凝りましてね」

「連珠? あゝ五目並べの事ですか」