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かぜとひかりとはたちのわたしと
風と光と二十の私と
「文芸 第四巻第一号(新春号)」1947(昭和22)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,154 字 · 30 页
私は然し先生で終ることのできない自分の野心が悲しいと思っていた。なぜ身を捧げることが出来ないのだろう?
私は放課後、教員室にいつまでも居残っていることが好きであった。生徒がいなくなり、外の先生も帰ったあと、私一人だけジッと物思いに耽っている。音といえば柱時計の音だけである。あの喧噪な校庭に人影も物音もなくなるというのが妙に静寂をきわだててくれ、変に空虚で、自分というものがどこかへ無くなったような放心を感じる。私はそうして放心していると、柱時計の陰などから、ヤアと云って私が首をだすような幻想を感じた。ふと気がつくと、オイ、どうした、私の横に私が立っていて、私に話しかけたような気がするのである。私はその朦朧たる放心の状態が好きで、その代り、私は時々ふとそこに立っている私に話しかけて、どやされることがあった。オイ、満足しすぎちゃいけないぜ、と私を睨むのだ。
「満足はいけないのか」
「ああ、いけない。苦しまなければならぬ。できるだけ自分を苦しめなければならぬ」
「なんのために?」
「それはただ苦しむこと自身がその解答を示すだろうさ。人間の尊さは自分を苦しめるところにあるのさ。