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かぜとひかりとはたちのわたしと

風と光と二十の私と

坂口 安吾

「文芸 第四巻第一号(新春号)」1947(昭和22)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,154 字 · 30 页

青空文庫

乳をしぼるところを見せてくれと云って遊びに行ったら躍りあがるように喜んで出てきて、時々人をいじめることもあったが、ドブ掃除だの物の運搬だの力仕事というと自分で引受けて、黙々と一人でやりとげてしまう。先生、オレは字は書けないから叱らないでよ。その代り、力仕事はなんでもするからね、と可愛いいことを云って私にたのんだ。こんな可愛いい子がどうして札つきだと言われるのだか、第一、字が書けないということは咎むべきことではない。要は魂の問題だ。落第させるなどとは論外である。

女の子には閉口した。五年生ぐらいになると、もう女で、中には生理的にすら女でないかと思われるのが二人いた。

私は始め学校の近くのこの辺でたった一軒の下宿屋へ住んだが、部屋数がいくつもないので、同宿だ。このへんに海外殖民の実習的の学校があって、東北の田舎まるだしの農家出の生徒と同宿したが、奇妙な男で、あたたかい御飯は食べない。子供の時から野良仕事で冷飯ばかり食って育ったので、あたたかい御飯はどうしても食べる気にならないと云って、さましてから食っている。ところが、この下宿の娘が二十四五で、二十貫もありそうな大女だが、これが私に猛烈に惚れて、私の部屋へ遊びにきて、まるでもうウワずって、とりのぼせて、呂律が廻らないような、顔の造作がくずれて目尻がとけるよう