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かぜとひかりとはたちのわたしと
風と光と二十の私と
「文芸 第四巻第一号(新春号)」1947(昭和22)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,154 字 · 30 页
な、身体がそわそわと、全く落付なく喋ったり、沈黙したり、ニヤニヤ笑ったり、いきなりこの突撃には私も呆気にとられたものだ。そして私の部屋へだけ自分で御飯をたいて、いつもあたたかいのを持ってくるから、同宿の猫舌先生がわが身の宿命を嘆いたものである。この娘の狂恋ぶりには下宿の老夫婦も手の施す術がなく困りきっていた様子であったが、私はそれ以上に困却して、二十日ぐらいで引越した。同宿者があっては勉強ができないから、と云って、引越しの決意を老夫婦に打ち開けると、そのホッとした様子は意外のほどで、又、私への感謝は全く私の予想もしないものだった。だからこの老夫婦はそれ以来常に私を賞揚し口を極めてほめたたえていたそうで、私にとっては思いもよらぬことであったが、ところがここの娘の一人が私の組の生徒で、これが誰よりマセた子だ。親が私をほめるのが心外で、私に面と向って、お父さんやお母さんが先生をとてもほめるから変だという。先生はそんないい人じゃないと言うのだ。こういう女の子供たちは私が男の悪童を可愛がってやるのが心外であり、嫉ましいのである。女の子の嫉妬深さというものは二十の私の始めて見た意外であって、この対策にはほとほと困却したものだった。