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かぜとき からすときつね
風と木 からすときつね
小川 未明
「赤い鳥」1927(昭和2)年4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,452 字 · 7 页
風と木
風と木
広い野原は、雪におおわれていました。無情な風が、わが世顔に、朝から夜まで、野原の上を吹きつづけています。その寒い風にさまたげられて、木の枝は、すこしもじっとしておちついていることができません。しきりに振り起こされては、氷のような空気の中に無理やりに躍らなければなりませんでした。
「もし、もし、北風さん、そう私をいじめるものではありません。私は、いま、春になる前の用意をしているのです。あなたが、この野原をひとりよがりに駈けまわっていなさるのも、わずかな間です。北の遠い地平線のあちらへ、あなたは、やがて帰っていく身ではありませんか。そう、私をいじめるものではありませんよ。」と、木の枝は、風に向かって叫んだのです。
北風は、これを聞くと、からからと笑いました。
「春になれば、私は、それは北の遠くへ帰ってしまうのさ。そして、こんどは、南からやさしい風が吹いてきて、おまえさんたちの頭を軽く、しんせつになでてくれるよ。けれど、あちらの池にきている雁が頼んで、いうのには、どうかもうすこし、元気よく吹いていてくれ、あんなほおじろとか、うぐいすとかいうような、人間のおもちゃにされるような、女々しい、虚栄心の強い小鳥どもが、いばり出すのは、しゃくだというのだ……。