轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふうちそう
風知草
宮本 百合子
「文芸春秋」1946(昭和21)年9~11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,107 字 · 88 页
二十歳をすこし出たばかりぐらいのふっくりとして愛らしい人と、速記をやってもう仕事をたすけている二十四五のひととが、臨時の書記にきめられた。数人のひとが、又この次日をきめて集るということになった。婦人に関係する綱領がつくられる仕事があった。
「長井さん、あなたが引こんでいるってことはないわ、出なさいよ」
「ええ。――そうも思うんだけれどもね、……」
かたまって話し合いながら階段をおりてゆく婦人たちは、主に、十月十日にかえった良人と一緒に、ここに住んでいる人たちであった。
会合がすむとすぐ下の炊事場で、これらの人たちが分担している活動がはじまった。台の下やその他の隅々はまだ真新しいコンクリート床で、みんながきまって盛に往来するところだけ泥あとのついた炊事場で、ポンプをくみ上げる音、薪をわる音がおこった。
夕闇の濃くなったそとへ出ようとする玄関口の受付に、電燈がともっていた。そこにかたまっている若い人々の群の中から、つとはなれて、ひろ子の前に来て立った人があった。その顔は笑っている。瞬間、とまどったひろ子は、目を据えてみて、
「まあ、ようこそ!」
覚えず片手をさし出した。