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くびきりもんどう

首切り問答

佐々木 邦

「日の出」新潮社、1935(昭和10)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,332 字 · 17 页

青空文庫

僕も昔に戻って、十六年間の苦心を話して聞かせた後、君は単に学校の都合という名目で僕を馘ったから、僕も単に官庁の都合という名目で君を馘るんだと言ってやった」

「乱暴な学務部長があったものだ」

「留任運動が起ると面倒だから、絶対秘密にやってくれと先方から頼むんだ。僕は往生際の好いのに感心して聊か物の哀れを催したが、矢っ張り此方は若いってことが後から分った。君、大友は辞令が出ると直ぐに○○中学校の校長になったんだよ」

「ふうむ、あの私立の?」

「うむ、あれは昔あすこの藩の学校だったってね」

「そうか。好いところがあったな。君も寝覚めが好いというものだ」

「以前から相談を受けていたらしい。考えて見ると、僕は仇の都合を計ったようなことになる。大友は子供が三人も大学や高等学校へ行っていて、生活が苦しいんだ。私立へ移れば、恩給だけ浮く勘定だから、食指が動いていたんだけれど、前の学務部長が頑として承知しなかったんだ」

「なるほど。西尾君は自分が採用したんだから、容易に承知しまい」

「そこへ僕が態首を切りに乗り込んだ。奴さん驚かない筈さ。自殺の決心をしたものを殺しに行った形になる。