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ほねをけずりつつあゆむ

骨を削りつつ歩む

佐左木 俊郎

――文壇苦行記――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,044 字 · 10 页

青空文庫

二カ月もいるうちに、二篇の短篇、五十枚ばかりきり書けなかった。毎日海岸に出ては、すっかりメランコリイになって泣いてばかりいた。そしてセンチメンタルな詩ばかり作っていた。

私は到頭郷里に帰って行くことにした。病弱な身体で寒い北国に行くことは、みんなから反対を受けた。だが私に取っては、思うままに書くことの出来ないのは、もっと辛かったのだ。そして暮れまでの約一カ月間に、三百枚計画の長篇小説を恰度半分書き上げた。機関車へ乗りたくって、北海道へ飛び出して行った時の事を書いたのだった。

郷里には五月の末までいたが、その間に十篇の短篇小説を書いた。その中の「石油びん」と「小鳥撃」の二篇は、生田春月氏の選で、「新興文壇」という小雑誌に載った。その時の嬉しさは未だに忘れられない。そして私は、田舎で書いた一篇の長篇と十篇の短篇を抱いて東京に出て来たが、また今村家の食客だった。

恩恵を棄て

私は何も書くことの出来ないのに堪えられなくなって、遂に今村家から飛び出して、通信事務員になったり裁判所の雇になったりして勉強はしていたが、読むだけで書くことが出来なかったので、作家になることを断念しようと思った。