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おにたいじ

鬼退治

下村 千秋

「赤い鳥」赤い鳥社、1925(大正14)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,214 字 · 11 页

青空文庫

「勘太郎が鬼退治をするとよ、鼠が猫を捕りに行くよりひどいや。阿呆もあのくらいになると面白いな。」と言った。

勘太郎はくやしくてたまらなかったが、仲間に入ることはあきらめてしまった。

くじに当たった男は新平という若い力持ちの男だった。猟に行って穴熊を生け捕りにしたことのある男で、村でも指折りの度胸のいい男であった。新平はもう寺を自分のものにしたようなつもりで、大鉈を一打腰にぶち込んだだけで、羨しがる若者どもを尻目にかけながら山の寺へ出かけて行った。

が、新平は翌日の明け方、お尻や背中の肉をさんざんに食い破られ、命からがら逃げ帰って来た。新平は驚きのあまり、死んだようになって、鬼退治の様子を話すことさえ出来なかった。

そこで二度目のくじ引きが行われて今度は力造という男がくじに当たった。この男は村一番の強者で、ある時村の一番強い牛と喧嘩をして、その牛の角をへし折り、あばら骨を蹴破って見事に倒してしまったことのある男であった。だから村の人たちもあの男が行ったら、さすがの鬼どももどてっ腹を突っこぬかれたり、首っ玉を引っこ抜かれたりしてしまうだろうと話し合った。