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まぞう
魔像
林 不忘
新版大岡政談
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 页
立派に言い切ったから、金山寺屋が保証することではあり、もうそれ以上詮議の要もあるまいと、かえって役人のほうが安心したくらいで、黒門町、これは徹頭徹尾当方の間違いであったぞ、許せよ。なんかと、満谷剣之助、いい気もちにそりかえって、そのまま捕方をまとめて帰って行った。
こうして、人ちがいという笑いで、その場は済んだのだったが、そうして委細承知で救いの手を伸ばしておいて、知らぬ顔して帰って行く金山寺屋の音松のうしろ姿に、思わず掌を合わせた壁辰とお妙――さては、二度の捕繩をあやうく逃れた当の神尾喬之助、あとで三人、あたまを捻って考えた。
今夜だけは、あの金山寺屋の取りなしで、ああして事なく治まったものの、とにかく、この家にこうしていることは、危険この上ない。お妙は、どう考えても、離しともない喬之助であったが、愛すれば愛するだけに、逮捕の危険にさらしておきたくないのである。
ポンと膝を叩いて、お妙の思いついたのが、いま金山寺屋に教えられた、その、神田帯屋小路の喧嘩渡世、茨右近という人。
そこへやれと言わんばかりに、金山寺屋は、神田の場処までも、詳しく知らせて行ったのである。