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まぞう
魔像
林 不忘
新版大岡政談
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 页
「金山寺屋さんは、わざと間違って呉れたのでしょうが、ことによると、ほんとに似ていなさるかも知れませんよ」
お妙がいった。これで一決して、翌朝、こうして職人姿の神尾喬之助をつれて、いま帯屋小路の家をおとずれて来た、黒門町の壁辰親分である。
四
「はい、これは、喧嘩屋の先生でいらっしゃいますか。手前は下谷の黒門町に左官職をいとなんでおりまする壁辰と申す者でございます。どうぞお見知りおきを願います。またこちらはお内儀、いや奥様」
「何でもようございますよ。ほほほ、知らずのお絃というあばずれでございますよ」
「いや、恐れ入りましてございます。ところで先生――」
「挨拶なんかいいや、気が短えんだ。喧嘩かい」
「まあ、お前さん、そんなにお話を急ぐもんじゃアないよ。――いえね、気はいい人なんですけれど、お侍のくせで、口がぞんざいなんでございますよ。どうぞ気にかけないで、何でもお話なすって下さい」
「いえ、痛み入ります。実ア喧嘩も喧嘩、これから、れっきとしたお城づとめのおさむれえさんの首が十七、ころころころと転がり出そうてエ瀬戸ぎわなんで」
「何? 武士の首が十七、こ、ころがろうといたしおると! ど、どこだ? これから参る。