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かいじんじゅうまんかん
魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編
内田 魯庵
内田魯庵『魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:灰燼十万巻、文明国には必ず智識ある高等遊民あり、駆逐されんとする文人、二十五年間の文人の社会的地位の進歩。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,671 字 · 55 页
こんなものさえ大切にスクラップ・ブックへ貼付けて珍重する日本では、残念ながら猶だ/\当分の中は外国書籍のお庇を蒙らねばならない。此種の美術書の焼失は金銭の問題では無い。金子さえ出したら絶対に買えないものは無いだろうが、一冊でも多く外国書籍を普及したい日本では、縦令再び同じものを得られるとしても、焼けたものは矢張日本の文化の損失である。
と心窃に感慨しつゝ、是等の大美術書を下駄で踏むのがアテナの神に対して済まないような気持がしながら左見右見としていると、丸善第一のビブリオグラアーたるKが焼灰で真黒になった草履穿きで煙の中を※(「彳+淌のつくり」、第3水準1-84-33)※(「彳+羊」、第3水準1-84-32)いつゝ、焼けた材木や煉瓦をステッキで堀返しては失われた稀覯書の行衛を尋ねていた。
『ドウダネ、堀出し物でもあるかネ?』
『何にもありません。悉皆焼けて了いました、』とKは力の抜けた声をして嘆息を吐いた。
『シーボルトは?』
『焼けて了いました。』
シーボルトの名は日本の文明の起源に興味を持つものは皆知ってる筈である。葡萄牙のピントー以来日本に渡来した外人は数限りも無いが、真に学者として恥かしからぬ造詣を蓄えて、学術研究の真摯な目的を抱いて渡来し、大にしては世界の学界に貢献し、小にしては日本の文明にも亦寄与した