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かいじんじゅうまんかん
魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編
内田 魯庵
内田魯庵『魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:灰燼十万巻、文明国には必ず智識ある高等遊民あり、駆逐されんとする文人、二十五年間の文人の社会的地位の進歩。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,671 字 · 55 页
之を区々一商店の損失として金銭を以て算当すべきでは無かろう。
古来焚書の厄は屡々歴史に散見する。殊にアレキサンドリアの文庫の滅亡は惨絶凄絶を極めて、永く後世をして転た浩嘆せしめる。近頃之を後人の仮作とする史家の説もあるが、聖経、詩賦、文章、歴史等古代の文献が尽く猛火の餌食となって焔々天を焦がし、尊いマニュスクリプトを焚いて風呂まで沸かしたというに到っては匹夫の手に果てたる英雄の最期を聞く如き感がある。一書肆の災を以て歴史上の大事件に比するは倫を失したもので聊か滑稽に類するかも知れないが、昨日までは金銀五彩の美くしいのを誇った書冊が目のあたりに灰となり泥となってるを見、現に千金を値いする大美術書を足下に踏まえてるを気が付くと、人世無常の感に堪えない。彼処には“Indian Archives”が炭のように焼けておる。此処にはロガンの“Journal of Indian Archipelago”が黒き灰文字となって僅かに面影を残しておる。見よ、心なき消火夫か泥草鞋もて蹂躙りつゝ行く方三尺の淡彩図を。嗚呼、是れシラギントワイトの『西蔵探険記』の挿図に非ず哉。