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ろじんさん
魯迅さん
内山 完造
「図書」岩波書店、1955(昭和30)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,269 字 · 17 页
そういうときに魯迅さんはぼくに、こういうものを相手にしてはいかんよ、嘘というものはいくらでも書ける、真実は一つしかない。長い年月の間には真実が勝つ、目前の闘争では真実の負けることもあるから相手になるな。そういう魯迅さんは一年に一回か半年に一回、攻撃された文章をまとめて返事をする。これのいってることはでたらめだと、ピチピチと釘を打ってしまう。喧嘩の仕方が実にうまかった。或るとき、半年くらいの食いしろあるかなとききにきた。それは魯迅さんの金をぼくが預っていたからです。ある、というと、そうか、ちょっと喧嘩しようと思うが、喧嘩すると半年くらい収入がなくなるのでね、という。食いしろをきめてから喧嘩をはじめる。ですから魯迅さんの喧嘩は強いですよ。
魯迅の好きな詩人は李長吉。それから魯迅は新しい版画を取り入れて盛んに宣伝した。われわれも一緒にやったのですが、世界中の版画を集めて来て美術学校の生徒に教えた。それが新しい中国の版画のはじまりです。その狙いは、油絵も、中国画も本物は一枚だ。これでは或る一部分の人しか鑑賞することができない。特に油絵などは画材が舶来品で高いから大衆向きでない。