轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
すし
鮨
岡本 かの子
「文芸」1939(昭和14)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,272 字 · 26 页
「お酒、あんまり呑んじゃ体にいけないって云ってるくせに、もう、よしなさい」
と湊の手から盃をひったくる。そして湊の代りに相手の客にその盃をつき返して黙って行って仕舞う。それは必しも湊の体をおもう為でなく、妙な嫉妬がともよにそうさせるのであった。
「なかなか世話女房だぞ、ともちゃんは」
相手の客がそういう位でその場はそれなりになる。湊も苦笑しながら相手の客に一礼して自分の席に向き直り、重たい湯呑み茶碗に手をかける。
ともよは湊のことが、だんだん妙な気がかりになり、却って、そしらぬ顔をして黙っていることもある。湊がはいって来ると、つんと済して立って行って仕舞うこともある。湊もそういう素振りをされて、却って明るく薄笑いするときもあるが、全然、ともよの姿の見えぬときは物寂しそうに、いつもより一そう、表通りや裏の谷合の景色を深々と眺める。
ある日、ともよは、籠をもって、表通りの虫屋へ河鹿を買いに行った。ともよの父親は、こういう飼いものに凝る性分で、飼い方もうまかったが、ときどきは失敗して数を減らした。が今年ももはや初夏の季節で、河鹿など涼しそうに鳴かせる時分だ。