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はとつかい

鳩つかひ

大倉 燁子

「富士 九巻八号」1936(昭和11)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,680 字 · 30 页

青空文庫

捜査課長は立上りながら、外套に手を通すと、

「さ、これから杉山氏の処へ急行だ。君も一緒に頼む」

緊張に面を硬ばらして言った。

二十分の後。

立松は赤星刑事を伴って、グランド・ホテルに杉山書記官を訪ねたのである。

そこには例の鳥籠を囲んで、早くも二三の人が、騒がしく話し合っていた。

瀟洒な服装をした背の高い男がこのホテルの支配人、でっぷり肥った五十がらみの赤ら顔が宝石を売った天華堂の主人、三十七、八と思える洋装の美婦人が保険会社の外交員岩城文子である。

「僕は、僕は、こんな脅し文句で絶対に出すのは厭です、昨日ダイヤを求めると、すぐ保険を附けたのです。ですから、この手紙を受取ると、天華堂さんと、岩城さんに急いで来て頂きました――」

杉山は、すっかり興奮していた。別段紹介したわけではないが、天華堂主人と岩城文子とは立松と赤星の方を向いて丁寧に頭を下げた。赤星はこの二人を注意深く見た。天華堂の節くれ立った大きな太い指には三カラットもありそうな立派なダイヤが光っていたが、岩城文子の華奢な細い奇麗な指には一つの指輪さえなかった、こんな指にこそダイヤも引立つだろうのに――、と思った。