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おうがい・そうせき・とうそんなど
鴎外・漱石・藤村など
宮本 百合子
「父上様」をめぐって
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,643 字 · 10 页
たりした安井息軒の生きかたをそのままに眺めている鴎外の眼も、私に或る感興を与えた。この短い伝記の中に、鴎外にとって好ましい女の或る精神的な魅力の典型の一つを語っているらしいところも面白い。最後に、鴎外は、外見には労苦の連続であった「お佐代さんが奢侈を解せぬ程おろかであったとは誰も信ずることが出来ない。また物質的にも、精神的にも、何物をも希求せぬほど恬澹であったとは誰も信ずることが出来ない。お佐代さんには慥に尋常でない望みがあり」「必ずや未来に何物かを望んでいただろう。そして瞑目するまで美しい目の視線は遠い遠い所に注がれていて、或は自分の死を不幸だと感ずる余裕をも有せなかったのではあるまいか。その望みの対象をば、或は何物ともしかと弁識していなかったのではあるまいか」と結んでいる。多くの言葉は費されていないが、私はこの条を読んだ時、一すじの閃光が鴎外という人の複雑な内部の矛盾・構成の諸要素の配列の上に閃いたという感銘を受けた。そして、彼が自分の子供たちに皆マリ、アンヌ、オットウ、ルイなどという西洋の名をつけていたことに思い到り、しかもそれをいずれも難しい漢字にあてはめて読ませている、その微妙な、同時に彼の生涯を恐らく貫ぬいているであろう重要な心持を、明治文学研究者はどう掴んでいるのだろうか、と感想を刺戟され