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おうがい・そうせき・とうそんなど
鴎外・漱石・藤村など
宮本 百合子
「父上様」をめぐって
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,643 字 · 10 页
た。漱石全集を読み直していた時だったので、明治時代のインテリゲンツィアが持っていた錯雑性という点からもいろいろ考えられた。
小堀杏奴さんの「晩年の父」は、「安井夫人」から受けた鴎外についての私の印象の裏づけをして、いろいろさまざまの興味を与えた。父鴎外によって深く愛された娘としての面から父を描き、家庭における父の周囲に或る程度までふれ、文章は、いかにも鴎外が愛した女の子らしい情趣と観察、率直さを含んでいる。
この趣の深い回想から、母親思いで「即興詩人」の活字を特に大きくさせたという鴎外の生涯は、その美しい噂の一重彼方では、一通りでなく封建的な親子の関係でいためつけられて来ていたこともうかがわれる。鴎外はそれと正面から争うことに芸術家としての気稟を評価するたちではなかった。それを外部に示さずに耐えている態度に叡智があるという風に処していたことも分る。ゲーテが現実生活に処して行ったようなやりかたを鴎外は或る意味での屈伏であるとは見ず、その態度にならうことは、いつしか日本の鴎外にとっては非人間的な事情に対してなすべき格闘の放棄となっていたことをも、鴎外自身は自覚しなかったであろう。