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がちょう
鵞鳥
幸田 露伴
「日本評論」1929(昭和14)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,335 字 · 23 页
」
「気アタリという奴は厭なものだネ。わたしも若い時分には時々そういうおぼえがあったが。ナーニ必ず中るとばかりでも無いものだよ。今度の仏像は御首をしくじるなんと予感して大にショゲていても、何のあやまちも無く仕上って、かえって褒められたことなんぞもありました。そう気にすることも無いものサ。」
と云いかけて、ちょっと考え、
「いったい、何を作ろうと思いなすったのか、まだ未定なのですか。」
と改まったように尋ねた。
「それが奇妙で、学校の門を出るとすぐに題が心に浮んで、わずかの道の中ですっかり姿が纏まりました。」
「何を……どんなものを。」
「鵞鳥を。二羽の鵞鳥を。薄い平めな土坡の上に、雄の方は高く首を昂げてい、雌はその雄に向って寄って行こうとするところです。無論小さく、写生風に、鋳膚で十二分に味を見せて、そして、思いきり伸ばした頸を、伸ばしきった姿の見ゆるように随分細く」
と話すのを、こっちも芸術家だ、眼をふさいで瞑想しながら聴いていると、ありありとその姿が前に在るように見えた。そしてまだ話をきかぬ雌までも浮いて見えたので、
「雌の方の頸はちょいと一※(小書き片仮名ト、1-6-81)うねりしてネ、そして後足の爪と踵とに一※(小書き片仮名ト、1-6-81)工夫がある。