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たそがれのこくはく

黄昏の告白

浜尾 四郎

「新青年」博文館、1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,453 字 · 41 页

青空文庫

だから絶望とは云えない。」

「ありがとう。けれど君は誤解している。僕は生きようと望んではいないんだ。死ぬなんてことは案外楽なものだぞ。生きよう生きようと努力するからこそ、回復する場合もあるだろう。しかし僕は生きようとは思っていない。だから回復することはない。もう一度ききたい。もし僕が遺言をするとすれば、今するのが適当だろうか。もっと延ばしておいていいだろうか。」

「そうだね、それは君の勝手だ。しかし、するなら今しても差支えないね。」山本は額の汗を拭いながら答えた。

「ありがとう。君の云うことは決定的だ、僕にははっきり判る。僕は自殺を仕損じてから今まで、遺言を君にきかせたいために、きいて貰いたいために生きていたのだ。そうして君からききたいことがあるために生きていたんだ。」

「よし、聞こう。云い給え。しかし疲れないように話し給え。君の生命は、それを云い終らぬうちになくなるかもしれない場合なのだ。」

大川が今度は黙った。

沈黙がしばらくつづく。部屋はもう闇になりかかっているのに、山本は電気のスイッチをひねるのを忘れていた。

「君は、僕がなぜ自殺をしようと計ったか、そのほんとうのわけを知っているか。