轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くろてぐみ
黒手組
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1925(大正14)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,978 字 · 36 页
毎日幾度となく湯につかったり、散歩したり、寝転んだり、そしてその暇々に筆を執ったりして至極暢気に日を送っていたのです、ある日のことでした。又しても一風呂あびて好い気持に暖まった身体を、日当りのいい縁側の籐椅子に投げかけ、何気なくその日の新聞を見ていますと、ふと大変な記事が眼につきました。
当時都には「黒手組」と自称する賊徒の一団が人もなげに跳梁していまして、警察のあらゆる努力もその甲斐なく、昨日は某の富豪がやられた。今日は某の貴族が襲われたと、噂は噂を産んで、都の人心は兢々として安き日もなかったのです。従って新聞の社会面なども、毎日毎日その事で賑っていましたが、今日とても「神出鬼没の怪賊云々」という様な三段抜きの大見出しで相も変らず書立てています。併し私はそうした記事にはもう慣れっこになっていて別に興味を惹かれませんでしたが、その記事の下の方に、色々と黒手組の被害者の消息を並べた中に、小さい見出しで「××××氏襲わる」という十二三行の記事を発見して非常に驚きました。といいますのは、その××××氏はかく云う私の伯父だったからです。記事が簡単でよく分りませんけれど、何でも娘の富美子が賊に誘拐され、その身代金として一万円を奪われたということらしいのです。