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くろねことみ
黒猫十三
大倉 燁子
「キング 一二巻一号」1936(昭和11)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,366 字 · 29 页
世界を跨にかけた女賊黒猫トミー及びその情夫が、辰馬銀行の金庫から多額の金を奪って逃走した。しかもその案内役は頭取の令息である、という点に多少の疑惑を抱かれているというのだ。
本庄は思わず胴震いした。が、不思議な事ばかりで、どうも腑に落ちなかった。第一××会の首領であるべき辰馬久が捕われないのも変だ。十三が仮に黒猫トミーという女賊であったとしても、宮岡警部はどうしたんだろう。辰馬に会ってみよう。そうだ、彼に会って訊いてみる事だ。
しかし、さすがにアパートに行く気はしなかったので、辰馬銀行に出かける事にした。新聞を見て見舞いに来た、と云えば誰も怪しむまい。
銀行の応接室には見舞客が辰馬久を取巻いて、事件の顛末を聞いているところだった。彼は両足をふんばり、腕を組んで、興奮しきった顔をして、刑事から聞いてきたという話を受け売りしていた。が、本庄の顔を見るといきなり手を握って、
「例の一件から、遂々こんなめに会っちゃったよ」とささやいた。それを××会に関係した事と本庄は早呑込みして、
「どうして君が、――××会の首領なんかになっていたんだ? 僕は全然知らなかったよ」