輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おれのにょうぼう

おれの女房

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《おれの女房(おれのにょうぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,296 字 · 46 頁

青空文庫

――しかしもう昂奮もなし刺激もない、四人の気持はもうばらばらで、いっしょにいることが逆にお互いの孤独感を強くした。

――ごまかしだ、なんという青くさい、しらじらしいごまかしだ、逃げだそう。

それぞれの部屋へ別れるとすぐに、又五郎はその家をとびだした。まだ宵を少しまわった時刻と思われるのに、もう霜でもおりたように道は凍てて、こがらしめいた風がかなり強く吹いていた。――駕籠にでも乗りたかったが、自分では一文も持っていない。身も心も憔悴し疲れて、寒さに絶えず震えながら、なかば駈けるような足どりで歩いていった。

家へ帰ったのは十時ごろだったろう、手足のさきは寒さのためにこごえ、おまけに酔がさめたのと空腹とで、みじめにがちがち歯が鳴った。どんなにあしざまに喚かれることか、そう思いながら路地をはいってゆくと、ずっと雨戸を閉めて暗くなっている長屋の一軒だけ、灯を明るくして賑やかに女たちの笑い囃す声の聞える家があった。

――おれの家らしいが、しかしまさか……。

彼は首を捻った。近寄ってゆくと、それは正しく自分の家で、女たちの饒舌のなかに、お石の高笑いの声がはっきり聞えた。