輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おれのにょうぼう

おれの女房

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《おれの女房(おれのにょうぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,296 字 · 46 頁

青空文庫

四

――妻のお石の姿が眼にうかんだ、甲だかな叫びごえが耳にまざまざと聞える。長屋ではそろそろ起きだしている家があるだろう。素朴なつつましい生活の音、その日その日のいとなみの、単調であるために却って安らかな物音。……お石はどんな気持で、どんな顔でそれを聞いているだろうか。又五郎は低い呻きごえをあげた、それから激しく首を振り、唇を歪めて笑った。

「それがなんだ、おれは問屋から荷を卸して来て、それを売って暮す者とは違う。建具屋でもなければ呉服屋でもないんだ、そういう利で食う人間とは違うんだ」

彼はこう呟き、眼に見えない敵とでも対決するように額をあげ肩を聳やかした。

「高く飛躍するためには常識からぬけ出さなくてはならない、世俗的な観念をうち毀すんだ、おれがどんな人間かということは、絵が証明するだろう」

「なに独り言を云ってるの、寒いのにいつまでこんなところでなにしてるのよ」女がうしろへ来て腕をひいた。又五郎は向きなおり女の肩を抱きながら云った。

「飲もう、いって三人を起して来て呉れ」

四

昏れがたにそこを出て、その夜は島田の家で泊り、明くる日は井上がどこからか金を都合して来て、また飲みまわったうえ、吉原の同じ家へあがった。