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さぶ
さぶ
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《さぶ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 頁
十一の一
「いちいちおれを引合いにだすなよ」と栄二が云った、「おれはこの寄場に大きな借りができたんだ、ちっとやそっとで出られやあしねえから、おれのことは考えねえでやってくれ」
さぶはまるい眼をみはり、口をあけて栄二を見た。
「だって栄ちゃん」とさぶは唾をのみこんでから云った、「おめえいつか、おれといっしょに、そうじゃねえ、おめえが店を持つときには、おれを糊の仕込みに使ってくれるって、約束したじゃあねえか」
「それはしゃばにいたときのことだ」と云って栄二はそっぽを向いた、「――いまのおれは寄場人足なんだぜ」
十一の一
「よう、起きてるな」と云ってこぶの清七がはいって来た、「もうあるいてもいいのか」
「まだまだ」と与平が云った、「みんなでそうせかしちゃあだめだ、そうでなくっても当人はじれったがっているんだから」
「だって昨日こっちへ移ったっていうそうじゃねえか、病人置場を出たんなら、医者の手ははなれたんだろう」
栄二は右足を投げだして坐り、めしを喰べていた。ちょっとぶしょう髭が伸びているし、日光に久しく当らないので顔色はなま白く、肉もたるんだように見えるが、治療を始めてから三十日以上も経ち、躯そのものは恢復したのだろう。